第八回 慈眼寺の「鬼」

第八回 慈眼寺の「鬼」

二月三日、慈眼寺の諸堂にて節分の豆まきを行いました。

節分とは元来、季節の始まりとなる立春・立夏・立秋・立冬の前日のことですが、今日では特に、かつて年の最後の節目とされた立春(毎年二月四日ごろ)の前日を指します。

この日には、多くのお寺や神社で豆まきが行われます。豆まきでは「鬼は外、福は内」と唱えるのがおなじみですが、これは人間を迷わす煩悩に見立てた鬼を払って、新年の幸福を願うことを目的としたものです。

このように、節分や昔ばなしでは悪者のように扱われてしまう「鬼」ですが、仏教の中の「鬼」は、みな悪者というわけではありません。

 

慈眼寺の本堂の傍らでは、灯りをたずさえている二体の鬼の像が、門番のように仁王立ちしています。

この姿は、かつて仏教の守護神である「四天王」に敗れた悪者の鬼が改心し、仏さまの前を灯りで照らす役割を与えられた姿だと伝えられているそうです。

この鬼は天燈鬼(てんとうき)と呼ばれる、阿修羅(あしゅら)像で有名な奈良県の興福寺様に安置されている国宝の木像を模したものです。今日では「国宝館」の中で、筋骨隆々の頼もしいお姿を拝見することができます。