五月三日、青梅市の塩船観音寺(しおふねかんのんじ)様へ参拝してまいりました。
塩船観音寺様は、真言宗醍醐派(しんごんしゅう だいごは)の別格本山でもある、千三百年以上もの歴史をほこるたいへん大きなお寺です。
八百比丘尼(やおびくに。 人魚の肉を食べたことで不老不死になり、僧侶となって日本各地をめぐったという伝説を持つ女性)が開山したと伝えられているそうです。
山あいに建てられた寺院の境内は、青紫・赤紫・オレンジ・白・朱…といった、さまざま色のつつじによって彩られていました。
つつじが開花のピークを迎える四月中旬〜五月上旬は「つつじまつり」と称され、たいへん多くの方々がお参りに訪れるそうです。
さて、今回こちらを訪れたのは、色とりどりのつつじを愛でるため…という理由もあるのですが、
毎年五月三日に行われている「つつじまつり」のメインイベントとなる行事、「柴燈護摩 さいとうごま」への参加が一番の目的でした。
「柴燈護摩」は大きな炎を起こし、その中に「不動明王 ふどうみょうおう」(お不動さま ※第七回の記事参照)」をお招きすることで、様々な祈願をする修法(儀式)です。
そして、僧侶の方々がその燃え盛る炎の中を渡り、お不動さまのご利益を受けるための「火渡り」が行われます。この火渡りは、参拝者も経験させていただくことができます。
私は参拝者としての立場で、この「火渡り」に参加させていただきました。
まず弓矢や刀などを用いた勇壮な儀式が執り行なわれたのち、こちらに火が放たれます。
火が灯されると、煙が一気に広がります。
ものの一分ほどで、このように辺り一面が煙まみれになりました。
ご祈願を行う僧侶の方々は、炎と灰の中を裸足で渡って祈願を行います。
この修法は「荒行 あらぎょう」と呼ばれるくらいなので、僧侶の方々は無傷ですむはずがなく、足の裏にやけどを負ってしまうそうです。
この炎が消えたのちに、灰が綺麗にならされ、われわれ一般の参拝者による火渡りが始まります。
裸足になってズボンのすそをまくり、お祈りをしながら灰のならされた道を踏みしめていきます。
足の裏は熱くなかったのですが、通り道の両脇はまだ燃えていたため、身体の側面がいぶされるようでした。
当山・慈眼寺はお不動さまをお祀りしていないために、ふだんはご縁を感じることが少ないのですが、
身体に感じた熱とともに、お不動さまとのご縁とご利益を感じることができたような気がします。
余談ですが、お守り売り場に気になるものを見つけました。
こちらの可愛らしいキャラクターは、このお寺に勤める僧侶の方がデザインし昨年誕生した「やおびくにちゃん」。
第二回の記事でご紹介した高野山の「こうやくん」のような、塩船観音寺様のマスコットキャラクターです。
このお寺を開いたといわれる女性の僧侶「八百比丘尼 やおびくに」が、幼い女の子の容姿となって現れた姿、という設定だそうです。
お守り売り場にはさまざまなグッズが販売され、境内には多くのやおびくにちゃん絵馬がかけられていました。なんと、LINEのスタンプも販売しています。