第百十六回 仏花となった菊の花

第百十六回 仏花となった菊の花

 

 

 

旧暦の九月九日は重陽(ちょうよう)の節句、通称「菊の節句」と呼ばれています。
「桃の節句」「端午の節句」ほど馴染み深くはありませんが、これも季節の節目となる重要な日の一つです。

 

 

 

菊は季節を問わず仏様・お墓にお供えされる機会が多いため、お寺のお花というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、菊は蓮華(ハス)のような頻繁にお経に登場する植物ではなく、かつては仏教とそれほどゆかりの深い花ではなかったと言えます。

 

 

 

菊は「菊の節句」つまり本来秋に咲く花であり、他の季節ではみることのできない植物でした。
ですが戦後に一年中栽培できるようになったこと、また比較的日持ちがしやすいといった理由などにより、お供えに向いている花として常に用いられるようになったそうです。
すなわち、菊を仏花として用いる文化は、意外にもこの半世紀ほどの間で新たに誕生したようです。

 

 

 

「菊の御紋」などを見てもわかる通り、菊は伝統的に縁起の良い花として伝えられています。
こうしたお花が一年中手に入るようになったとは、良い時代になったものです。

 

 

 

この記事は、『花は自分を誰ともくらべない  47の花が教えてくれたこと』(著:稲垣栄洋氏 山と渓谷社 2020年発行 )
p.196〜p.201 を参考としました。

 

理由は諸説あるため、あくまでも一つの説として捉えていただければ幸いです。