先日、慈眼寺が所属する真言宗豊山派の総本山・長谷寺に参拝して参りました。
総本山長谷寺は8世紀前半・奈良時代に創建された、長く強い信仰を集める寺院です。
長い歴史の中で幾度か荒廃しながらも、その度に復興を繰り返してきました。
所属する宗派も幾度か変わりましたが、天正十六年(1588年)に長谷寺へやって来た専誉(せんよ)僧正が真言宗豊山派を開いたことで、今日まで豊山派の総本山として歴史を紡いでいます。
長谷寺の入り口となる仁王門。
門を通り抜け、本堂である観音堂へ向かうにはこの回廊を登ります。
重要文化財となっているこの回廊の段差は、合計三百九十九段。所々で休憩を挟まないと、少し息切れしてしまいます。
ご本尊・十一面観音菩薩像がお祀りされている観音堂内部。現在建立されているお堂は、慶安三年(1650)に再建されたものです。
ご本尊自体は写真撮影禁止となっているため、お堂を横から捉えたこの場所が人気の撮影スポットとなっています。
観音堂の縁側。
長い長い回廊を登った参拝者の方々が、ここに腰掛けたと伝えられています。
慶安三年(1650)から今日までの約三百五十年の間に渡って座り続けられたため、所々木材がツルツルにすり減っていました。
多くの人々が様々な思いを胸に長谷寺を訪れたことを、こんな所からも知ることができます。
続いて訪れたのは、同じく奈良県に建立された室生寺(むろうじ)。
こちらは真言宗室生寺派の大本山となっている、八世紀後半に建立された寺院です。
かつて僧侶の修行の関係で女人禁制だった高野山に対し、女性の参詣が許されていたことから「女人高野」という別名を持っています。
室生寺の本堂。内部にはご本尊の如意輪観音(にょいりんかんのん)像がお祀りされています。
鬱蒼と繁る木々に囲まれたこちらの五重塔は800年頃に建立されたもので、国宝・重要文化財に指定されている屋外にある木造五重塔では日本最小のものだそうです。
その高さは約十六メートル。いくら最小とはいえ、立派であることは疑いようもありません。
室生寺の近隣には、室生寺創建に関っている神社・竜神を祀る竜穴(りゅうけつ)神社もありますが、時間の関係上そちらを訪れることはできませんでした。
またの機会に、ゆっくりと参拝に訪れたいと考えております。